[コメント] タロットカード殺人事件(2006/英=米)
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エロオヤジ丸出しみたいなアレンが昔はあまり好きじゃなかったんですが、『スコルピオンの恋まじない』を観た時はあのエロじいさんが可愛く思えてしょうがなかった。それなのに今回、あのじいさんからエロが消えてしまった。女の尻を追っかけてアタフタモタモタしているあのじいさん好きじゃなかったけど、てゆーかちょっと好きになりかけてたんだけど、いざそれが消滅してしまったとなると、非常に落ち込んでいる自分がいます。遺憾だ!あんなにも嫌だ嫌だと思ってた部分がなくなった事がこんなにもショックだとは…!女の尻を追いかけてないじいさんなんてウディ・アレンじゃない(号泣)
加えて、じいさん特有のドタバタ感が今回あまり感じられなかったのも悲しい。音楽室に忍び込むまでは良かったんですが、雲の上から見ている私たちを笑わせてくれる、あのいつもの客観的視点が今回見られなかったように思います。ドアをバタンと閉められて、ウクククって笑っていた私はその後繰り広げられるもっとおかしな出来事を想像していたのに…。思い切り肩透かしを食らってしまいました。例えば『おいしい生活』で見せてくれた金庫破りの手際の悪さとタイミングの妙みたいなもの。ああいう絶妙な下手巧演出が今回はありませんでしたね。台詞の応酬の方が健在だっただけに、若干の物足りなさを感じたというか、ドタバタしているようで実はそつがないっていういつものスマート感が鈍っている気がしました。あの神懸り的な匙加減はもう見せてもらえないのでしょうか…。
アレンの作品には良い意味で安心感があると、昔何かのコメントに書きましたが、今作は安心感というよりも退屈感といった方がしっくりくるといった感じです。彼の年齢を考えると、なんか切ないものがあるよ。でもその時その年齢でしか作れない、そういう作品をこれからも作っていってほしいなと思います。なんだかんだ言って実は結構このじいさんの事好きなんだな私。
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08.03.25 記
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