[コメント] ジャイアンツ(1956/米)
主演ではないがゆえに却って演技者ジェームズ・ディーンの偉大さが最も克明に記録され、かつ彼のフィルモグラフィ中で最も独創的な演技が示された作品。その独創性とはもっぱら「手」の使い方にある。演技においてこのような仕方で手を駆使した俳優は、世界の映画史上でも他に例が思い浮かばない。
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映画を見終った人むけのレビューです。
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この映画はマーセデス・マッケンブリッジを途中退場させた時点で傑作となることを放棄したと云ってもよいだろう。彼女が中心にいることで演技空間に形成される磁場、その緊張感。見渡す限りの荒野にポツンかつドカンと建った屋敷に満ちる魔力。マッケンブリッジの退場によってそれらのただならぬ映画的ポテンシャルは失われてしまうのだが、しかしこの映画はそれと引き換えに愛らしい小品の相貌を手に入れた。長大な上映/劇中時間、立派な美術、雄大なロケーション撮影にもかかわらず。
スティーヴンスはやはりなかなか大した演出家だったと思わされるのは、たとえば、映画を列車と馬の「並走」から開始させている点。しかし欲を云えば列車と馬の距離はもっと近いほうがよいし、後半には時代の移り変わりを端的に示す道具であるところの「飛行機」から牧場を走る馬を見下ろすカットがあるにもかかわらず、その飛行機と馬の並走ぶりをワンフレームに収めていないところなどは片手落ちと云わざるを得ない。まあ、しかしそれらは些細な事柄だ。これが力強さと繊細さを備えた愛すべき映画であることに変わりはない。
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