[コメント] チーム・バチスタの栄光(2008/日)
原作よりも医療ミステリーとしての出来は上。原作未読の人間なら、迷わず観劇をお奨めする。ただ、原作を先に読んだがゆえの不満もある。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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まるでオートプシー・イメージングが失敗したかのような医師チームのうなだれ様、白鳥が「犯人が分かりました」と言った後の桐生、成海両医師への問い詰め方、そしてその後の手術の成功と、原作以上の鮮やかな手際でミスリードを提示し、まんまとどんでん返しの構築に成功している。
原作は、そもそも両医師の失敗というニュアンスで話を進めていないし、作者自身にミスリードをしようという意思が希薄だから、両医師の秘密が暴かれた後に、真犯人が明らかになっても「あっそ」という感じで拍子抜けしてしまう。
これは、映画脚本が原作を上回った稀有な例だと思う。
反面、あの、病院の中に殺人者がいたという前代未聞の不祥事で、院長辞任もやむなしという場面。田口医師と白鳥がどう動き、いかにこの事件に決着をつけるのか、という本小説のもう一つのクライマックスが、映画では完全にオミットされている。
しかも尺が足らないという理由じゃなくて、ソフトボールシーンに置き換えられるという訳の分からん理由で。
監督として、新しいシーンを挿入したいという欲がある事は理解するものの、小説のクライマックスを丸ごととっぱらってしまうというのは、やりすぎだろうと思う。
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