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[コメント] ランボー 最後の戦場(2008/米=独)

まさか「ランボー」でこんな映画観る事になるとは…。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ランボーは医療支援の為にビルマ入りする宣教師の一団を決して否定してはいない。映画は余りにも惨い虐殺を描き、ただ泣き喚くしかない無力な女性を映し出すが、それを見つめるランボーの瞳には、決して彼らへの非難や侮蔑はない。戦争の現実が解っていないように見える一団のリーダーでも、命を掛けてやってきている事は事実であり、戦闘が終わった時、彼は医師として傷ついた兵士たちに向かっている。ランボーは彼らを認めている。そして自らを見つめ直している。兵士としての自分に出来る事は何なのか、と。

ロッキー・ザ・ファイナル』と『ランボー 最後の戦場』はスタローンの中で対になっていて、ロッキーに最後の仕事を与えると決めた時に、ランボーの事も決めていたのだろう。自分の人生と如何に向き合うか、ロッキーにはロッキーの、ランボーにはランボーの結論を与えたかったに違いない。

スタローンも観ている自分も、本当に年を取ったなぁとしみじみする。ロッキーは再挑戦する行為によって、自分の生き様を誇りに思う事が出来た。ランボーは殺戮者としての自分の悪を引き受けたのだと思う。本当は宣教師たちの一団こそが必要なひとびとであり、しかしそれを許さない状況と戦う為に自分がいるのだ、と確認した。そしてラスト、自分を疎外してきた環境との和解を試みる勇気を描き乍ら物語は幕を閉じる。「疎外との闘い」こそが全てだったランボーの物語を、他者の受容というラストで締めくくったので、ぼくはスタローンの「老い」に涙が出たのだった。

まぁその仕組みとしてビルマ国軍を只管「殺すべき存在」として描き、結局超人ランボーはカスリ傷程度で殺し捲ったのだから、スタローンの到達点も眉唾という事かもしれないのだが。<正義の闘い>を追い続けてアフガンからビルマなんだから、相変わらずの「スタローン節」ではある。 ぼくは今回ランボーには死が訪れると思っていたので、いやはや上述の涙も複雑な味がしたのだった。

(評価:★4)

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