[コメント] 落下の王国(2006/インド=米=英)
大風呂敷な映像が小さな現実のハッピーを盛り上げている。大風呂敷こそをやりたい(んだろうなの)監督にとってはいい思いつきで、それを見事にミートさせたのは思いのほか現実面のドラマの出来だった。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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どっちが主客のつもりだったのかはよくわからないけど、私は現実のほうのドラマに惹かれた。子供騙しの作り話なんだが、受けての子役の女の子が抜群の上手さでリアクションすることで、大風呂敷の叙事詩が俄然「面白い話」として真実味を帯びてくる。彼女の芝居がなければ、叙事詩のほうはもう少しランクダウンした観光ムービーみたいになってしまったかも知れない。もっとも観光ムービーとしても面白かったけど。でも作り話によりのめりこめたのは彼女の存在の大きさだなと思う。
まだ幼くて万事よくわかってなくて、でも、自分の親をかばって院長に嘘の通訳をしたりを直感的にやったりして・・・っていうような役柄をきちんと把握しているから演技できるわけだろうし、世界にはすごい子役がいるもんだ、また、よくぞ彼女を演出したなっていう感じ。監督の最大のヒットは、映像詩よりも彼女への演出でしょう。
彼女の最後の台詞「サンキューサンキュー」がとてもいい。みんなが喝采を送るスタントっていうのは、落ちても倒れても、次の場面で何事もなかったように立ち上がっている映画の登場人物たちなのだな。落ちても落ちてもまた上っていく。聞き手にせがまれるに任せて、強引にハッピーエンドに導かれる作り話とシンクロするのだ。ちょっとがんばってみようかっていう気にさせられる。そこにやられました。
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