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[コメント] ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト(2008/米=英)

もちろん被写体がストーンズであるというだけで、一定の興奮値をクリアしてしまうのだが、年齢という枷を超越したミックの超人ライブパフォーマーぶりには言葉を失う。ビーコン・シアターという変則閉鎖空間を、映画装置として制御するスコセッシの老練豪腕ぶり。
ぽんしゅう

そして、スクリーンに充満する一夜の狂騒。

そう、これはストーンズのライブではなく、ライブの「映画」なのだ。我々はビーコン・シアターの熱狂を体験するわけではなく、ストーンズとビーコン・シアターという素材と装置を駆使して、スコセッシがスクリーンに創り出した狂騒に巻き込まれるのだ。ロックコンサートの会場としては異型の空間。その決して広くはない空間に閉じ込められ、挑発者ストーンズに酔いしれる陶酔者たちの距離感。

細かく割られ、巧みに積み重ねられるカッティングと、カットごとに不自然なほど強調される声や楽器音。大胆であり、繊細でもあるミキシング効果が生む計算ずくの視覚と音響の狂騒。当然ではあるが、コンサート会場ではあり得ない狂騒感である。まぎれもなくこれはマーティン・スコセッシが仕組んだ「映画」なのだ。

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余談ですが、一曲終わるごとに思わず拍手してしまいそうになるのを、こらえるのが大変でした。カメラがマンハッタンの天高く舞った瞬間、私と、隣にいた私の姉さん格の年齢の上品そうな御夫人で、迷うことなくほぼ同時にスクリーンに向かって開始した拍手は、やがて映画館全体に広がったのであります。

(評価:★4)

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