[コメント] チェ 28歳の革命(2008/米=仏=スペイン)
客観性を重視した結果、ドラマ性を放棄したのはいい。でも、それで本人の葛藤を排除してしまった結果、そこにいるのが「ゲバラ」なのか「ゲバラを演じるベニチオ・デル・トロ」なのかが曖昧。
役者としてのデル・トロは、もちろんゲバラの内面に迫ろうとしただろう。ところがカメラが追うのは、デル・トロが咀嚼した結果、醸しだしているゲバラの外面だけだ。彼が真摯であればあるほど、それは「デル・トロの解釈したゲバラ」となり、スクリーンには「ゲバラを演じるベニチオ・デル・トロ」として表出する。
さらに悪いことに、ドラマ性を排除したストーリーは観客を感情的に置き去りにしてしまう。結果、観客は演ずるデル・トロを見ながら、内面の読みきれないゲバラの行動に「正義」に対するナルシシズムすら感じてしまう。もちろん、革命に対する評価は一義的になされるべきではないが、客観性を重視した結果がデル・トロの一人舞台ということであれば、これは史実を扱った映画としては「逃げ」なんじゃないだろうか。
ワウテル・サレスが撮ってくれれば良かったのになぁ…というのは、やっぱ蛇足だわな。「3」はつけにくいので「4」。第二部見た結果で「3」に降格の可能性もあり。
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