[コメント] 愛のむきだし(2008/日)
悪い冗談のような現実なら、映画の世界の住人のように振る舞って、現実の世の中などぶっ壊してしまえよ。そんなエールのようなものを感じた。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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現実のやり取りを戯画化して描いてみたり、戯画的な設定をふつうのドラマを撮るように演出したり、どこかまっとうな映画をバカにしたような映画でもあり、それ以上にフィクショナルに堕した現実をバカにしているようでもありつつ、映画にも現実の抱えている問題にも真っ向から向き合っているようで、なんとも不思議な、でもまぎれもなく熱いメッセージの伝わってくる映画だった。
最初の「罪を懺悔しなさい」と父親に強要されるうちに故意に悪いことをするというくだりと、パンチラマスターの修行シーンは、ややわざとらしさが過剰に思ったが、これってはぐらかして描かないと生々しい仕上がりになってしまうという、もしかすると監督がいちばん恥ずかしいと感じている部分なのかな? ヨーコの箪笥の中のパンティの整然とした収納も生活感がなく、もっとふつうにリアルに撮れば良かったのにと思う。反面で満島ひかりや安藤サクラのパンチラや、父親から性的な虐待を受けるシーンは躊躇なく撮ったりしていて、このへんの監督の感受性のありようは面白いと思った。
さそりが爆弾と刀をもってゼロ教会に殴り込みにいく、その爆弾と刀っていうのは、完全に戯画なんだけど、これははぐらかしの戯画ではない。本気の戯画。こういう現実と作り物を自由に行ったり来たりしている本作って、やっぱり監督の真骨頂だなって思う。
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