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[コメント] タイタンの戦い(2010/米)

まあ、見世物映画としては出来はいい方。しかしこれを一個の映画作品として判断するなら、必要以上にリメイク作に自分の主張を盛り込みたがったレジスタンス気取り映画。その目立とう根性により映画自体が迷走を続ける。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







何故か本作ではオリンポスの神々が必要以上に憎まれ役になっている。それは別に問題ではない。ルイ・レテリエ監督は『聖闘士星矢』を筆頭に日本製アニメに大いに影響を受けたことを認めているし、そうした東洋テイストが欧米映画に影響を与えることで、新たなオリジナリティも誕生するかもしれない。

だが、それは模倣の先に歩を進めなかった。作中世界で神々への抵抗が始まるのにたいした説明はなされないし、当の神々の非道ぶりも突っ込んで描かれない(試しにこの映画のスタッフはオウィディウスの『変身物語』でも読んでみればいいのだ。イオやカシオペアへの罰どころではない、それこそ対メドゥサ級の神々の残虐な仕打ちがこれでもかとばかりに描写されているのだから)。それに加えて主人公のペルセウスは大局的な観方で神々に憎悪を燃やしているのではない、事故のとばっちりで家族を失ったことを逆恨みしている単なるバカとして描かれているため、恨みを晴らすべく彼らに挑む際、神々の武器をあえて使おうとしないで戦う困ったちゃんになってしまっているのだ(神剣しかり、ペガサスしかり。わざわざアテナのフクロウを取り出しておいてあっさり捨てる演出は、この監督のオマージュに不向きな性格を露呈する結果を見せ付けている)。かくて物語は不要な迷走を続け、活劇のカタルシスを削ぎ落とす。

そもそもゼウスの性格設定の混乱にいみじくも現われているように、この物語からはペルセウスへの神の助力が不可欠なのだ。そこに新しさを突っ込もうとするレテリエは、まさしく自縄自縛状態に陥ってしまった。彼にはドラマツルギーを学びなおす以上の教育が必要であると思えてならない。

どうでもいいが付記する。ギリシャ神話には地獄という概念は存在しない。よって冥土は放っておいても領民が入ってくる富んだ土地であり、ハデスは決して貧乏くじを引いたわけではない。ついでながら暗黒の魔王でもない。このあたり日本製アニメの誤解を引き継いでしまったのか、そもそもキリスト教原理主義の監督なのか理解に苦しむところである。

(評価:★3)

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