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[コメント] シルビアのいる街で(2007/スペイン=仏)

いさかか偏執的ですらある「顔」のコラージュとでも言うべきガラスへの映り込みや、行き交う人々や路面電車が発する自然音への執着に唯一無二の独自性を感じる。カフェテリアの混沌が生むスリルと期待感。青年が目的を喪失した後の女たち「顔」の圧倒的主張。
ぽんしゅう

すべてを観客の想像力にゆだねてしまうかのような不思議な映画である。

カメラやマイクは常時、アクティブに被写体とかかわりながらも、そのシンプルな画面は観客に何かを主張したりしないし、何も強要しない。しかし、映画という呪術にでもかけられたように、観るの者の中でイメージがふくらみ続ける。ハリウッド的な刺激や、あるいは沈黙と静寂をもって何かを語るといったような、両義において情報過多(前者は質量、後者は時間と言えば良いのだろうか)な演出に慣らされた身には、ホセ・ルイス・ゲリン監督の観客の視線と聴覚を信じきったような演出は、特異でありながらも、映画的豊穣さをたたえて新鮮であった。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)chokobo[*] 3819695[*] moot

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