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[コメント] 死刑台のエレベーター(2010/日)

オリジナルとの比較以前に、現代日本に設定した企画の段階で失敗だと思う。だってオリジナルはコントじゃん。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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監督の緒方明曰く、頼まれ仕事だそうで、「オリジナルと比較しないで(笑)」と言ってるそうだが、いやもう比較する以前の問題。

オリジナル『死刑台のエレベーター』の良さはストーリーじゃないと思うんですよ。 端的に言えばあの雰囲気。 夜の街を歩く手持ちカメラとか、即興演奏と言われるマイルス・デイヴィスの名演とか、コントみたいなしょーもない話とか。 諸々が偶発的に「いい感じのデタラメさ」になってるから面白い映画なんだと思うんです。 あのねえ、フランス映画の魅力って、いい感じのデタラメさなんですよ。

ところが緒方明の持ち味は「生真面目さ」なんだな。 彼の好む題材も演出も生真面目さが漂う。 いや、ディティールは結構雑なんだけどね。 例えば、今時の医者はタバコなんぞ吸わないだろうにジッポのライター持ってたり。携帯置き忘れてんのにジッポとナイフはしっかり持ってたり。優秀な医者だというわりに車のキー付けっぱなしだったり。いやいや、そんなんじゃワインに錠剤溶けないでしょうよ。しかもその程度の量じゃゲーゲー吐く前にグッスリ眠っておしまいなんじゃない?

そもそもこの「デタラメの魅力」の映画を、名作=いい話と勘違いして「恋愛モノ」的に生真面目に捉えるからオカシナことになるのだ。 コーエン兄弟みたいに「可笑しくて悲しい人間の業」という扱いを前面に出すならば、リメイクの意義があったろう。 あるいは韓国リメイク。 やたら熱いドロドロした話に仕上げたら、リメイクとして面白かったと思う。

現代日本に置き換えることに無理があるよね。 5時半消灯って、お前ら少しは残業しろよ。そりゃ、不倫する暇もあるわ。

(10.10.10 テアトル新宿にて鑑賞)

(評価:★2)

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