[コメント] 浮雲(1955/日)
もちろんいまだに成瀬の全作品など見てはおらず、むしろ「ほとんど見ていない」と云ったほうが適当でさえある私ではあるけれども、「成瀬の最高傑作は『浮雲』である」とさも当然のごとく語られる風潮にはさすがにちょっと首を傾げたくなる。でも、最っ高に面白いんですよね、やっぱり。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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森雅之の「みんなボクが悪いんだ。ボクだけが悪いんだよ。ボクって人間はもぬけの殻なんだから」とか高峰秀子の「あたしって可哀想な女だと思わない?」とか、私には一生縁のなさそうな(というか、なるたけ縁のあってほしくない)スバラシイ台詞に溢れていて、もう笑いが止まらない。音楽斎藤一郎とのコラボレーションも絶品。アイパッチつけて再登場する森や山形勲の「大日向教会」も凄すぎる。
そしてトドメはやはり屋久島ロケだろう(実際のロケ地は屋久島ではないそうですが)。初めて見たときは(原作も読んでいなかったので)屋久島行きというまさかの展開に度胆を抜かれたが、改めて見てもこれはもう世界の果てへの旅というか地獄巡りとしか思えない。しかもそれは鬱蒼と茂る植物が雨と風に揺れる、隠鬱で蒸し暑い地獄なのだ。地獄映画の金字塔だ、これは。
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