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[コメント] ブルーバレンタイン(2010/米)

ライアン・ゴズリングミシェル・ウィリアムズのルックスの組合わせがどこか当世風でない。私は過去のゴズリングにロバート・ドーナット、現在のゴズリングにウォーレン・オーツの面影を見ていた。『ガルシアの首』のオーツがまともな家庭生活を営もうと試みた姿、それがこのゴズリングではなかろうか。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







というのはもちろん酷い妄想で、外見に相似が認められるかどうかはともかく、少なくともこのゴズリングはオーツの演じるキャラクタほど粗暴ではない。しかしそのような妄想を誘いだすのはこれが映画だからだ。たとえどれほどリアルだったとしても、『ブルーバレンタイン』はやはり映画である。この演出家は「リアルであること」に溺れていない。

ここで行われている時制の交替についてエイゼンシュテインのモンタージュ理論用語を借りてみれば、ショットならぬシーンの「衝突」とでも云えるだろうか。過去シーンと現在シーンが「衝突」するたびに冷たい火花が飛び散って、私たちに胸苦しい動悸をもたらす。そして最も激しい「衝突」が訪れるとき、それは哀しいほどに美しい花火となって画面を覆い尽くしてしまうだろう。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ナム太郎[*] ぽんしゅう[*] けにろん[*]

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