[コメント] マネーボール(2011/米)
「マネーボール理論」、セイバーメトリクスを表現(説明)できているかというと全くできていないのだが、まあよし。人と人が出会い、交わり、通じ合う瞬間の表現が抜群に素晴らしい。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ジオンビの穴埋めに獲得した3選手は大して活躍もせず、出塁率と選球眼を買って獲得したはずのハッテンバーグ唯一最大の見せ場が20連勝を決めた試合でのサヨナラホームランであるという的外れっぷり(ホームランは実話だから仕方ないのだが)。野球映画としてはチグハグだが、理論と実践を知りたきゃ原作本を読めばいいのであって、映画化の焦点は別にあったって全然構わない。
ブラッド・ピットがインディアンスの球団事務所に単身乗り込んで、ジョナ・ヒルの才能を一瞬で見出し、強制的に「面接」する件りや、二人が絶妙のコンビネーションでシーズン中のトレードをまとめ上げる電話交渉シーンの切れ味の鮮やかさ。
また、ブラピの娘の歌声が素晴らしすぎる。ギターショップで柔らかい逆光に包まれながら彼女が弾き語るシーンの幸福感。ラスト、車内での自作CD演奏で歌声は甦る。ここで涙に滲んだかのごとくブラピの横顔から不安定に揺れ動くカメラに主観を揺さぶられる。
何より孤独な勝負の世界に生きながら、時に人間味を垣間見させるブラピが好いのである。
ロッカールームなどのディテールも興味深いし、観客のいない無人のスタジアムが醸し出す情感がたまらなく佳い。アメリカ映画のいい面が詰まっている。
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