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[コメント] 股旅(1973/日)

前年TVシリーズ『木枯らし紋次郎』を撮った市川崑が皮肉ってみせたモノ。
sawa:38

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「シラケ」た世代だった。「シラケ」ていなければ格好悪い時代だった。

木枯らし紋次郎』では「あっしには関わりの無い事」と時代を象徴するような名文句を吐かせ、一大ブームを引き起こした。紋次郎はいざとなったら強かった。クールだった。

私たちは憧れた。恥ずかしながら楊枝をくわえて真似したりもした。だが、クールを気取ってシラケてみせても、彼の強さは真似出来ない。私たちは彼のように孤独では生きる術を知らなかったから。・・結局は仲間と群れを作ってシラケた真似事をしていただけだった。

所詮はTVのヒーロー物。そんな事は分かりきっていた。いつの時代も言われる台詞:「今の若いもんは・・・」。それも分かってる。

あの3人の若者の旅は「みっともない」と「情けない」と「あっけない」だった。格好良さを求めて、もがけばもがく程、格好悪くなる。クールを気取ってシラケてみせても、結局は仲間を求めて群れて生きていくしか出来ない。

うわべだけ真似して強がってみせて、ひとりじゃ何も出来ない「今の若いもん」。そんな僕らを市川崑が皮肉ってみせた。ラストで一人残された萩原健一はその後どうしたのだろうか?・・・・きっと髪を切り、大人社会に恭順の意を示し、生き残っていったのだろうか?

(評価:★4)

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