[コメント] ライク・サムワン・イン・ラブ(2012/日=仏)
完全に恐怖映画である。会話において話者同士が同一フレーム内に映ることがほとんど無い。あったとしても罵り合いや誰かかが一方的に喋っているだけであり、会話は成立していない。こうしたディスコミュニケーション劇としての徹底ぷりに驚かされる。登場人物は空間的にも時間的にも文字通り他者と「断絶」しているのだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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だからこそ終盤、泣きながらの電話を機にタカシとアキコが同フレーム内に収まって話し始めた時、私はようやく希望を感じたのだが、そのような甘い考えは凄絶な暴力がオフスクリーンで炸裂するクライマックスにて無惨に打ち砕かれる。なんと冷徹で、なんと恐ろしい作品だろうか。
「人は一生孤独のまま死んでいくんだよ!分かりあえるなどと思うな!」とキアロスタミに冷や水をぶっかけられ続ける2時間であった。帰り道、大阪駅前の繁華街の人ごみに揉まれて嘔吐しそうになった。
・タカシの隣家に住むおばさんが出てくるカットの気色悪さときたらどうだろう。何か腐敗臭が漂ってきそうだ。
・特別協力のクレジットに黒沢清の名が出ていたが何か助言でもしたのだろうか。ラストカットのカーテンの揺れ?
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