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[コメント] 映画ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム(2015/英=仏)

絵本の主人公は…。
ナム太郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「絵本の主人公は、必ず家に帰ってくるんです。だから子どもたちは安心して絵本の世界の中に飛び込んでいけるんですよ」

ある方から教わった絵本の大原則。そんな大原則が応用されたかのような本作は、冒頭に示される素晴らしい8ミリフィルムの再現シーンに全てが帰結していく物語である。しかもそこに、映画ならではのノンストップ・アクションが加わるのだから、これはもうこの作品が作られた時点で楽しさが保証されたも同然なのだが、加えてこの作品には「台詞がない」という高いハードルが課されるのである。こんな映画、いざ作る側からすれば、本当に嫌気がさすほどの作業であったことだろうと想像する。しかし、そんな困難をものともせず、あの『ウォレスとグルミット』を超えた言っても過言ではない作品を作り出したアードマンには、これはもう賞賛の言葉しか見当たらないというのが本音である。

改めて振り返ると、本当に無駄のない作品であった。サイレント映画をも想起させるアクション満載の、でも何気ないギャグのひとつひとつがすべて物語に帰っていき、その小さな物語が全て冒頭の8ミリに大きく収まっていく。何度も言うが、その構成が素晴らしい。個人的には、毎日扉に挟まれていた忠犬が、「事件」のあとはそんな被害にあうこともなくファーマーから産まれた頃のように大切にされるところが本当にツボで、ギャグであるはずなのに涙が出てしまった。

そんな本作は、久々に、観たあとなのに「今すぐもう一度観たい!」と思わせる作品であった。ああ、観てよかった!

(評価:★5)

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