[コメント] シン・ゴジラ(2016/日)
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途中、ゴジラが停止してからの中だるみがいささかくどいし、臭いしで、正直なところ、ちょっと飽きる。
ただクライマックスとも言える自衛隊によるゴジラへの攻撃シーンは見応えがあったし、特に最後、ビルを爆破してゴジラを下敷きにしようという作戦も良かった。巨大怪獣に人間が今ある技術と装備でどう立ち向かうかというのをしっかりと見せてくれた。こういう怪獣映画が見たかったのだ。
「なんでゴジラが凍りついちゃったの?」とか、「ゴジラの細胞が風かなんかで飛散しちゃって、今度はその飛び散った細胞が増殖してゴジラが増えるようになるの?」とか、何か小難しくて面倒くさい話もいろいろあったようだが、まあ、いいよ、そういうのも。
それに「本当に怪獣が出現したらお役所はどう対応するのが正しいの」みたいなポリティカルドラマみたいなのも、やりたいならやってもいいよ。でもそれを演じる生身の役者は臭かったし、演出もありきたりだったなあ。
そういうところは一昔も二昔も前の怪獣特撮映画とあんまり変わらないのね。でもそういう臭さもそれなりにうれしいし懐かしいし、伊福部昭の音楽へのこだわりはファンとして素直にうれしい。
それに役所名とか自衛隊の駐屯地とかの字幕が太明朝体なのもいい。昔の怪獣特撮映画は、あんなんだったなあと思い出してしまった。
そして時事問題も適度に取り込んで、そういうものをすべてひっくるめて、本作はまさに正しい日本の怪獣特撮映画の伝統をしっかり受け継いでいると思う。
この際だから、次作は「シン・ゴジラの逆襲」というタイトルで、本作のゴジラのラストシーンから初めてほしいなあ。凍りついたゴジラの周囲は再び高層ビルが建ち並んでいるという、危機意識のない脳天気な日本らしい復興の後に、前回わけのわからん液体をゴボゴボ飲まされたゴジラが、その液体によって新たな化学反応だか核反応を起こして、また違う特性を備えたというか、違う生命体として復活するというのはどうだろう。
いっそのこと体長も半分くらいに縮めてみてもいいし、あるいはさらに巨大化してもいいし、放射性物質はなくなったが代わりにこんな危険が!みたいな話でもいい。そして当然のように二番煎じの凡作でもいい。そうであってこその日本の正しい怪獣特撮映画だよね。
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