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[コメント] イレブン・ミニッツ(2015/ポーランド=アイルランド)

無限に存在する「時間」のなかの任意の11分間が、無限に存在する「空間」のなかの一点に収斂する。人はそれを「偶然」と呼ぶ。我々の生きる世界は、そんな時空の偶然の積み重ねで出来ているということ。そこでは、人の属性や行動や関係性は何の意味もなさない。
ぽんしゅう

今までの類似の構造を持った「偶然」の映画と、このイェジ―・スコリモフスキが仕掛ける「視覚」と「聴覚」のモザイク映画との一番の違いは、結末において一瞬にして虚構と現実の区別が消滅し、個人と世界がはらむ危機は同根であり相似だということを提示してしまう凄味にある。スコリモフスキの作り出した「偶然」は、世界の成り立ちの普遍を示唆している。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)capricorn1 けにろん[*] ゑぎ[*] セント[*]

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