[コメント] 女神の見えざる手(2016/仏=米)
片や憲法を楯にとる銃所持の可否問題。対するは議会主義を操る扇動ロビー活動。そんな決着なき「白と黒」の狭間の情報戦と民意操作の危うさを深刻に問う告発映画と思いきや、ハリウッド保守本流の伝統芸に裏打ちされた堂々の娯楽映画。良い意味で裏切られて大満足。
マシンガントークを推進力に周りを圧倒しながら物語を先導するスローン(ジェシカ・チャステイン)のエキセントリックさは、まるでスクリューボールコメディのヒロインみたいだ。
彼女が刻む複雑なリズムに振り回されつつ、周りに配置された絶妙なキャラの善人、悪人、老若男女が、一瞬たりとも気をそらさせない巧みなフレームワークとカッティングで絡み合い、最後は有無を言わさずビシリとお話しに決着をつける。
ベースに流れるのはハワード・ホークス、フランク・キャプラ、ジョージ・キューカーら40年代、50年代のハリウッド・エンターテインメントの技。この映画、大騒ぎで「正義」を引っ掻き回しながらオーソドックスな伝統芸で勘所を押さえ、納まるべきところに「こと」を納めてしまう。ハリウッド保守本流映画の最進化型なんじゃないでしょうか。
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