[コメント] フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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2年前ぐらいに「貧困だ」と実名を出して名乗った女子高生を、ネットで叩きまくる、という事件があった。どうやらそういう人たちには「貧困」というものは、ボロボロの服を着て、雨漏りするような家に住み、食うや食わずの生活としているのでなければ「貧困」なんて言うな!という価値観みたいで。だから、スマホを持っているとか、ランチを食べたりすることを挙げ連ねて、ボコボコに叩きまくるようだ。
そういうのは「絶対的貧困」というそうで、それに対して、社会の中で見ると貧困に属すという「相対的貧困」というものがあり、先の女子高生はそれにあたるようだ。判りやすく言えば「格差」。日本人の6〜7人にひとりはそれにあたるそうで、先進国の中でも高い割合なんだとか。日本は豊かな国ではなかったんだ。そして貧困を口にした人を叩くようなひとは「心が貧困」なんですね。
と、貧困問答は筋違いなので、映画に話を戻すと、やはり貧困のシングルマザーの物語なんですね。でも、毎日を楽しく生きようと、ギリギリのところで踏ん張っている。でも踏ん張れない者たちが堕ちてゆく闇はすぐそこにあって、片足つっこんだ状態。デフォー演じる管理人は厳しくも心温かい男のようだ。それでもどうにもできない現実。実際にそれは、私の周りでも、あまり変わらない気がする。
子供のストレートな行動はまぶしい。いつでも全力だ。ムーニーが仲良しだった男の子の所へお別れを言いに行ったときに、男の子の母(殴られた女)がそっとムーニーを抱き寄せるところで、ぐっと来た。そして女の子の部屋にお別れを言いに行ったとき、泣いて言葉が出ないムーニーを、女の子が手を取って一緒に走り出す。それまでムーニー達に「ついてゆく」だけの女の子だったのに、初めて自ら行動に出たその姿。あーもー号泣です。そして二人がどうなったかなんて、結論を出すことは無意味だ。魔法の中を二人の女の子は走り去った。それだけでいい。
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