[コメント] 竜とそばかすの姫(2021/日)
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今作はよく言えば細田守の集大成、悪く言えば使い回しの焼き直しだ。新しいことをやって不評だった『未来のミライ』の後なので、過去にウケた要素を集めてベスト盤にしたのだと思う。わたくしこれが非常に気に入らない。主人公すずが目覚め、ベッドから落ちた瞬間からもう激しく気に入らない。こんな定型芝居、ひと山幾らの深夜アニメで毎クールやってますわ。これを主人公の初登場シーンでやれちゃう雑な神経、かなりまずいと思います。たとえば新海誠先生のやはりベスト盤的な色の濃い作品『君の名は。』においては、ヒロインが目覚めるといきなり自分のオッパイを揉んだのだ、オッパイの感触が観客に伝わる絶妙の作画で。新海先生マジで頭イカレてますわ。ホント凄えよ。歴然たる実力差があります。
細田作品として、今作の新しいところといえば「歌」だろう。歌。ま、歌はいいんじゃないですか。歌はいいねえ(言いたいだけ)。冒頭のララライ、ララライ、ララライライみたいな歌もよかったですね。またキャラクターデザインがジェネリック貞本義行だらけの中で、アバター・ベルのバタくさいデザインは実によかった。毎日お茶漬けで飽きた頃合いにカツ丼みたいな。ララライ。
アバターのベルが美女で本人が冴えん女子高生、という物語の前提はまったく機能していない。なぜなら人類はおおむね、絶世の美女よりも田舎の女子高生の方が好きだからだ(ソース:『君の名は。』)。女子高生が顔を晒すリスクは、当人にとっては大変なものだろう。しかし顔を晒して歌うにあたり、最悪なのは中身おっさんの場合に尽きる。中身おっさんのVtuberにとって、美少女アバターは鎧だ。なきゃ即死。女子高生なら大丈夫、民衆歓喜で楽勝や。ハードルは素顔で歌えるかどうかの内面だけ。だから歌はよくてもクライマックスとしてはちと弱い。テンションがかかってない。
その後は現実とは思えない荒唐無稽な展開で、まあ現実じゃなくてアニメなんだから当たり前なんだけど、観てる最中にそんなこと思いたくないよな。御都合すぎる場所特定。2日放置という児相の謎ルール。小娘をひとりで東京へ行かせる大人ども。DVオヤジをにらみたおすJK。お前は大山倍達か。結局兄弟をどうしたのかの明確な説明なし。困ったもんです。マーでも入道雲で締めればお客さん満足するんやろ? それで『時かけ』ではウケたんや。細田監督、そういうのボカーよくないと思います。
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