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[コメント] キネマの神様(2021/日)

現代パートのベタさは思わず目を覆いたくなるくらいの酷さだが、回想パートの往時の撮影所風景、その生き生きとした幸福感に一気に惹き込まれる。
緑雨

北川景子の圧倒的説得力と、永野芽郁のこれまた衝撃的な清廉さ可憐さ。この幸せな回想の菅田将暉・永野・野田洋次郎を、ベタな現代の沢田研二宮本信子小林稔侍に重ねてみると、時の流れの重さと深さに感慨も生まれてくる。

それにしても脚本「キネマの神様」のアイデアは、『カイロの紫のバラ』が無きものになっているのはひとまず置いておくにしても、もう少し魅力あるシーンに仕上げられないものかと思ってしまう。自身が体験した撮影所風景は魅力的に描けても、こうしたファンタジーを上手く撮れないところが山田洋次の限界なのだろうな(90歳近い老人にそれを求めるのも酷だとわかっちゃいるけど)。作品内で菅田に自虐的なセリフを言わせていたあたりは潔いと思った。

(評価:★3)

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