主人公二人のバックボーンはさほど語られてはいないが、古田新太演じる短気な漁師はホント単に気性が荒いだけの人物像で設定ありきな感じ。対する松坂桃李演じる内向的なスーパー店長の一見誠実そうで、でも何考えてるんだか分からないんだけど追いつめられても食欲は旺盛(スタミナラーメン大盛・ノリ弁じゃなく特ノリ弁当、そしてラストもしっかり昼食の弁当を食べる描写)という、つかみどころの無さがとてもリアルだなと。

ラスト、互いに描いた絵が親子で同じ風景を共有してたんだってのは、それは今までの陰の関係から陽にという意味でそりゃそっちのほうが良かった。でもなんか設定ありきなんだよな。

う〜ん、やっぱオレ的には執拗に松坂に歩みよる寺島のどさくさ紛れのキスに中年女の侘しさを感じたし(でも彼女は嫌いじゃないかなオレは)、そんな他人のどんな形であろう好意を受け入れる余裕などない松坂の自殺まで未遂しながら、でも食欲は失わないって。

これらイレギュラーでありながら根源的に人間の持つバイタリティ。「何が正しいのか正しくないのか そんなのどうでもいい とりあえず特ノリ頼んだのにから揚げ入ってねぇぞ！ 先ほどは申し訳ありませんでした…」

そんな彼の心の内は少なからず理解できるし、理解してあげるべきだと思う。

あと、ワイドショーTVメディアのクソっぷりも小気味良く描き、はいサヨウナラ〜って感じでしたね。