コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 恋人までの距離〈ディスタンス〉(1995/米)

ほころびも多いが腹は立たない。
tredair

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ほとんどの場面がふたりの会話によって占められているのでそれが苦痛だとついていけないかも、といった点はロメール映画のよう。ロメール作品のように血となり肉となってはいないのでちょっと鼻につく印象もあるが、それはご愛敬。

また、アメリカ映画のわりには裏で音楽が鳴り続けていないのが素晴らしい。 だからこそ、ふたりがレコード屋でアメリカの女性歌手によるバラードを聴く場面は印象深い。

会話にさりげなくユーゴスラビアの内戦話が登場するところやロマの占い師が登場するところなどはヨーロッパ濃度が高く、また、主人公が最初に読んでいた本がクラウスキンスキーの自伝だったところなども興味深い。

随所随所にそういったヨーロッパ臭を漂わせながらも、わざとらしい観光映画とはなっていないところも賞賛したい。 抑制された演出の妙だと思う。

また、個人的には、ふたりがウィーンの町で最初に声をかけた劇団員たちとの会話が映画の最後の方でちゃんと拾われていたのに安堵した。その締めがあったおかげで、ふたりの半日がにわかに現実味をおびた気がする。

残念なのは、ミルクシェークというお題で書いてもらった詩にあまり感動できず、ちょっと326等をイメージしてしまい辛かったこと。

落ちが半年後の約束を交わす、というところはよかったが、それぞれの思い出の場所を別々にたどる、というのはいかにもな気もした。 できたらセシリアには熟睡してもらいたかった気も。 そちらの方がよりリアルなのではないだろうか。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (6 人)カフカのすあま[*] うちわ [*] ナム太郎[*] ごう[*] アリ探し[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。