[コメント] 福田村事件(2023/日)
ドキュメンタリーで人間の心理をえぐってきた監督がドラマを作ったらこうなった。見事だ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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それぞれの立場の言い分が痛いほどわかる。セリフ一つ一つに込められた当事者の思いはドラマならではの訴えかけがある。人物背景や人間関係の描写もわざとらしくなく自然と物語世界に没入できるのだ。
また、「主人公が誰であるか」というより、全員が当事者であり主人公として扱われている点が、集団として村の一員としての存在感を感じる。
俳優たちの視線の演出が冴えている。全員が内面に不満や困惑を抱えてそれを抑制している点が強調されており、当時の社会状況と環境を瞬時で理解できる。
「あなたはそれを実際に見たのですか?」というセリフが何度も出てくる点も重要だ。 事実とは? 事実を見聞きしたとしてもそれを捻じ曲げて解釈してしまうことも罪であろう。
差別や固定観念への警告と集団の恐ろしさをSNS時代の現代と重ねて、なかったことにされた「事件」を題材にした本作の意味を問い直したい。
おおらかな利根川、深い森、女たちが立ち働く厨、軍服に身を包んだ男たち。ライトの加減やアップで迫るカメラも良い。最終的に肉弾戦となるシーンも、綺麗にはまった型ではない迫力があり説得力がある。
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