[コメント] PERFECT DAYS(2023/日=独)
光と影と、心地良い音楽と、東京の切り取り方と、
ドイツの巨匠はすばらしく変わらない
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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(明け方、箒音で目覚め、布団を畳み、歯磨と髭整、苗木に水遣、仕事着にて空見上げ、缶珈琲と音楽でトイレ清掃に向かう、 昼、神社でサンド、木洩陽を撮り、新芽を捕獲、 暮れ、銭湯で一番風呂、常屋で晩酌、読書にて就寝 しかし眠りは浅い)
一見、修行僧や受刑者の生活のようでもあるが、それは自分が美しいと思うものを優先する生き方であり確立されたPERFECT DAYS。
貧しい生活にも見えるが、無駄なもの徹底的に排除したミニマルな生活であり、ここに行き着くまでにどれだけの回り道をしたか。覚悟すらも感じる。
大衆との接し方も心得ており、自ら干渉することはなく、多くの他者とのやりとりは受け流す。 時たま見せる笑顔、会釈は、同じ側の感性を持った者同士が交わす信号であり微かな幸せを感じる。
ただ、映画は静かに終わらせてはくれず、同僚やその彼女、姪っ子や兄妹が穏やかな日々を掻き乱す。飲み屋のママと元旦那が感情を掻き立てる。垣間見える過去と心情。
人はなかなかひとりでは生きていけない。生かしてはくれない。そして簡単には死なせてくれない。
それが最後の泣き笑いとも、自らの生き方を噛み締めるような表情にすべてが投影される。
「いや、西日が眩しかっただけさ」 そんな言い訳すらもしないだろう。
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