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[コメント] ぼくの伯父さん(1958/仏=伊)

ムッシュ・ユロは「ムーミン」だ。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「ユロ氏が行く先々で騒動を巻き起こす」

こう書くとあらすじ的には楽だ。

だがこれは事実ではない。 彼は、事件を引き起こす張本人でもなければ、事件を解決するわけでもない。むしろ何もしていないに等しい。 いわば、騒動の渦中にいる「傍観者」。

これは、かの「ムーミン」(原作)と同じだ。 かなり悪い言い方をすれば、「何かしなきゃ」と思いつつ「何もできない」ダメな奴。それがムーミンなのだ(そしてそれがムーミンのいい所でもある)。

「ダメな奴」と書いたものの、それは大人社会に於ける尺度であり、イコール「人間性」(ムーミンは人間じゃないけど)ではない。 だが大人はそれに気付かない。 それを本能的に嗅ぎ分けるのは、近代的なモダンな家よりも泥んこになったり野良と一緒に走り回る、子供や犬なのだ。

米アカデミーの最優秀外国語賞やカンヌの特別賞等を取ったりしたジャック・タチの代表作だが、フランス国内では「笑えない」と言われ始めていたらしい。ま、わからんでもないが。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)山本美容室[*] けにろん[*]

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