[コメント] ラ・パロマ(1974/スイス)
完全にネタばれを書いちゃうので→
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
見た直後に書いているので千々に乱れていますが、以下のような感想を残しておきます。
頬の垂れ下がった豚のような坊ちゃん顔の男の紡ぐ幻想談。三島由紀夫の小説のように、登場人物の心と心の奇怪な響き合いによって話が進むかと思いきや、一挙に泉鏡花風になって我々を驚かす。そしてさらに、最後にすさまじい後戻りが起こる。現実と現実にならなかったこと、現実と幻想の境まで曖昧にしてしまう、制作の手管に賛嘆する。
監督が意識してやったかどうかは正直よく分からないが、ある部分、黒澤明の「生きる」を本歌取りしたようなプロットである。しかし「生きる」の真似をしつつ「生きる」の全く逆の筋をたどる。その意味で「生きる」のパロディとすら感じられる。
一般の映画のめざす「リアルであること」を実に小気味よく暴力的にぶったたいたこの映画は、まさに映画だと思う。
唯一気になったのは、途中に出て来るナレーション。せっかくの美しい映像が台無しではないか。
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