[コメント] スウィートホーム(1989/日)
日本版『ポルターガイスト』、あるいは見えすぎる恐怖。
いうなれば、『ポルターガイスト』のようないかにもなハリウッド的商業映画を日本において再現せんとして撮られた映画。そこでは与えられた謎は最終的にはすべて明らかとなり、見えないもの、意味のないものは何ひとつとして現れない、あるいはその存在の端緒を感じさせることはない。子供を誤って殺してしまった故間宮夫人の怨念は宮本信子とNOKKOが扮する疑似母子像の愛によって浄化・昇華されてしまうし、結末部には家族愛をたたえる(疑似)親子三人の再会のシーンを配置することも忘れないハリウッド流エンターテイナー的周到さ。最新SFX技術による間宮夫人の怨念の可視化といい、間宮家の近所に住んでいた老人(伊丹十三)の焼け死ぬシーンの生々しい映像といい、ここでは、この映画が参考にしたいわゆるハリウッド的映画と同じく、あらゆるものがあまりにも「見えすぎている」(東浩紀)。
この映画の脚本を担当した黒沢清は、これをきっかけに伊丹と決別することになる。本作品を、その後の92年に撮られた黒沢の実質上のメジャーデヴュー作品である『地獄の警備員』と見比べてみると面白いかもしれない。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (4 人) | [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。