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[コメント] 豚と軍艦(1961/日)

今村といえば昔は『にっぽん昆虫記』だったが、今だととこちらの方が入門編にはふさわしいかもしれない。悲劇的で恐ろしい題材を力技で喜劇に仕立て上げています。まさに重喜劇。丹波哲郎とラストの豚は必見。
ジョー・チップ

生への渇望がありながら、逆に死に突進していかざるを得ない人々の様は、師匠の川島雄三の影響がまだ強い(墓場のシーンは『幕末太陽伝』を連想)ことを思わせる。自分は死ぬという妄想に執り付かれたヤクザの丹波哲郎の無様さは爆笑ものだが、この映画のスタンスを決定付けている重要な役でもある。

画面の猥雑な迫力は今村の資質であろう。それでいてきっちり画面構成はできているので不快な気はしない。軍港、死体、繁華街(壮大なセット)、したたかな庶民の生き様というにはあまりにも浅はかな民衆(「アメリカになりてえ!」には笑った)・・・正に横須賀を豚小屋のごとく描くのだが、それがメタファーではなく本物の豚で表現するところがすごい。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)ペンクロフ[*] 甘崎庵[*] sawa:38[*] 町田[*] 水那岐[*] ボイス母[*]

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