[コメント] フロム・ダスク・ティル・ドーン(1996/米)
「何でそうなるの?」から「駄目だ、こりゃ…」へ。この映画が体現する感覚。我々の人生を支配しているのは、えてしてこの二言。
ドリフの大爆笑には、ネタが行き詰まるとちゃぶ台をひっくり返してしまう回があった。テンテレレンテン、テンテレレンテンといったお約束の音楽が鳴り出すと、何故かウルトラ怪獣達が総進撃してきて、場もコント自体もメチャメチャに洗い流してしまうのだ。幼年の自分は、それが楽しくてしかたがなかった。ブラウン管越しの傍観者を巻き込んでしまう“駄目だコリャ”思想の、最もラディカルな噴出だった。あのカオスな感覚は今もって自分の価値観の根幹を形成していて、ひどい境遇にあっても笑っていられると言っても過言ではない。
この映画“夕暮れから夜明けまで”、まさに“八時だよ!全員集合!!”。中身も“何でそうなるの?”というバカ映画の展開を確信犯で体現したものであり、いかりや長介の“駄目だコリャ”に通じるものを感じる。自分がタランティーノ好きになったのは、間違いないなくドリフターズが好きだったからだと思う。
映画とコントに共通するものがあるとしたら、文学や哲学がカバーしてくれない“とるにたらないほど、しょうもない感覚”をカバーしてくれることだ。特に脚本のタランティーノは観客側に立ち、大切にしてくれる。
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