[コメント] ハスラー 2(1986/米)
邦題をもっと工夫してくれ〜! 原題のまま『ザ・カラー・オブ・マネー』にした方がずっと粋でカッコいいぞ。日本の観客はトム・クルーズ好きが多いから肩透かしを喰らったのかも知れんし、或いは名作『ハスラー』の続編というリスクがあまりにも大きかったので評価が今一のようだが、僕なんかは寧ろ一作目より面白かったぞ!
本作はあくまでマーティン・スコセッシ版『ハスラー』であって、続編ではなく全くの別物。主人公のエディ・フェルソンは一作目のニヒルな性格を残してはいるが今回は性格的にまったく違う粋なオヤジになっていた。脚本のリチャード・プライスは第一作のフェルソンの味を残しつつ限りなく濃厚なスコセッシ色の映画へと昇華させた素晴らしいシナリオライターである。スコセッシにしてもいつもの哲学性を重視するコンセプトよりも、極「普通」のエンターテイメントを演出している印象がある。だからこそ僕はこの作品を純粋に楽しめる「映画的」な映画として評価したい。何より配役が素晴らしいし、(トム・クルーズですら巷で言われるほど悪くない)恋人役のメアリー・エリザベス・マストラントニオやへレン・シェイヴァーといった女優の存在感が映画に艶を与えていて効果は絶大だ。冒頭、煙草のスモークが漂っている映像にロビー・ロバートソンの土臭いサウンドが被さり、ニューマンの男性的なエロチシズムを感じさせる台詞と共に画面の中にバーボンが映る。そしてカメラはゆっくりと動き出し、熟年のカップルが抱擁し合い酒をあおっている場面までの長いワンショットなんて最高にクールで痺れる事請け合い。個人的には80年代のスコセッシはこれと『キング・オブ・コメディ』が一番好きだな。最近の『ディパーテッド』なんて完全にトチ狂ってるとしか思えない。この頃のミヒャエル・バルハウスの撮影は陰影があって良かったのに、どうしてあの映画ではあそこまで薄っぺらい画面になるのか・・・・?謎である。
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