[コメント] ダウン・バイ・ロー(1986/独=米)
男性が持つ根無し草への憧れをくすぐる。社会的基盤を持たない男達の無責任な迷走が楽しく、クールだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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状況の深刻さなんかにゃ悩まず、目の前の強引な展開に野暮な突っ込みを入れないジャームッシュのセンス。
ロベルト・ベニーニが女性と食事をしているのを見つけおずおずと入って来る二人。ロベルト・ベニーニのダンスを朝食を食べながら見ている二人。間のバランスが絶妙なのだ。
目の前に起きている不条理な出来事をいとも簡単に受け入れる。温かい寝床で安らぎたい、飯を食いたいだけという感覚が良い。社会性も計画性も無い感覚的な反応の旅路。全編を通して感じるのはドライなモノクロと相まってベタベタしない心地よい距離感。
確かに疲れた時に煙草と酒を用意して、温かくて間抜けで肩の力を抜いたクールな世界にどっぷり浸ってみたい。
脱獄の旅の話なのに脱獄シーンが無いとこにこの映画の姿勢が示されている。ドラマチックでない駄目男達の腐れ縁の旅の風景。人生の一瞬の出来事をまたも鮮やかに切り取ったジャームッシュ。
握手さえしない、振り向きもしない別れのかっこよさにジャームッシュのセンスが結集される。
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