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[コメント] ディア・ハンター(1978/米)

何なんだよこの映画。3時間もあるしダラダラ田舎の話とか描いてるから、どんなに面白くても人に勧められねぇんだよ。しかしベトナム物には傑作が多い。どのシーンも大変面白いが、マイケルの度が超えた友情に泣けて泣けてしょうがない
ギスジ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







戦場で共に戦った仲だからなのか、それとも地元で一番の親友だからなのか。僕には分からないけど、マイケルは米軍が撤退している最中にもかかわらずニックを探し続けます。住民はパニックになってるのを横目に、マイケルは奥へ奥へサイゴン?の市街を探し続けます。何度も何度もブローカーに高い金を請求され、やっとの思いで発見したニックに、マイケルは必死に声を掛けても本人は覚えていないんです。ニックに「知らない…」と言われ、マイケルが「知らないって言うな!」という短いセリフに何故か泣けました。ニックを助けるため自らロシアンルーレットに参加し、「ニック覚えているか?」、「国に帰ろう!」と試合中何度もニックに訴えます。その間マイケルとニックは、お互い交互に頭に銃口を向け引き金を引くんです。こんな悲しくも恐ろしいシーンは見たことがありません。マイケルの必死の説得も空しく、ニックの頭に銃弾が容赦なく撃ち込まれてしまいます。撃たれた瞬間のマイケルは悲痛の声を上げ、とっさにニックの打ち抜かれた出血が止まらない傷口を必死に覆い隠そうとするんです。とんでもないシーンを観たような気分になりました。まるでJFKのジャクリーン夫人を観ているようでした。デニーロとウォーケンの演技力も素晴らしいんですが、捕虜中地獄のようなロシアンルーレットを経験した彼らに、今度は自らロシアンルーレットに参加し、友人が目の前で死ぬという恐ろしい結末を書いた脚本のえげつなさに、僕はただただショックで、その夜はなかなか寝付けませんでした。

僕がこの映画に打ちのめされた理由の一つに、徴兵前の若者達の田舎の描写が生きてるんだと思います。日頃なかなか見ることのない合同結婚式の様子や、旦那の徴兵に不安がありつつも微笑んでいるウエディング姿の女性達や、町の住民達の暖かい祝福、まだまだあどけなさの残る若者達のだらしない行動だったり、あと僕は風景でもぐっと来ました。みんなで車に乗り狩りに行く途中、デブが置いてきぼりにされた時の深々とした森や、まだ雪が残っている山脈の圧倒的な美しさ。彼らの地元にあれだけの山々の美しい風景があるなんて大変誇らしいと思う。もしかしたらベトナムの深々とした亜熱帯ジャングルを見て、思い出したりするんだろうか。色々コチラが想像してしまうんです。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)irodori 3819695[*] けにろん[*]

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