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[コメント] 砂の器(1974/日)

凄いモンを観た。下手すると今まで見た日本映画で最高かもしれん。あー米の飯が食いてえ。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







※※※覚書的に※※※

・いい日本映画を観るとゴハンが食いたくなるのだ。

・「カメダケって、あ、あの算盤の!」ってこの感想、前観たときも思った記憶がある。アホだな俺。

・欠点はある。緒形拳が、加藤剛に殴り殺されるようなヤワな老人には見えないところとか。ラストの字幕が、ハンセン病への偏見を解くための下りはともかく、親と子の宿命が云々と語ってしまうところとか。しかし、むしろ欠点があるのが嬉しい。欠点も含めて好き。映画に対してこんな風に感じてしまうのは、ちょっと危険かもしれない。

・前回観た(10年以上前だ)ときの評価は★2つ。退屈に感じた記憶がある。なぜ当時の自分には退屈だったのか、その理由はなんとなく覚えてる。台詞が堅苦しくて、役者が皆、カメラを前に喋っているように見える(実際その通りだ)し、捜査が行き当りバッタリで、緻密さが感じられないばかりか、昔気質の根性主義が思い出されてしまう。だが今回は、このあたりはまったく問題とならなかった。たぶん、自分が変ったのだと思う。物事を「形」で見るようになった、とか。

・国民の物語だ、と思った。いや、国民の映画だ、と。「悪」を、自分とは無関係な第三者のものとして「告発」するのではなく、我と我が身に及ぶものとして「告白」している映画。その証拠に、「悪事」はきちんと描かれるけれども、特定の誰かを「悪人」として指差すことはしていない。我々の社会は、こういう歴史を背負っているんだよ、と。

・ただ、もちろんこの映画に連帯を感じない人もいるだろうね。自分について言うと、70年代初頭って自分の生まれた頃の話で、はっきりと記憶にはないけれど、時代の空気は吸ってなんとなく分かっている。だから半分懐かしさを覚えながら観ていたのだが、やっぱりわかってない部分もあって、そういう欠落部分を補ってくれた感じ。例えば、自分の感覚では、70年代初頭に戦争の匂いを感じた記憶はまったくない。近所の誰々さんは戦争で息子さんをみな失くしてしまって、とか、某々さんは戦災でご両親を失って、とか、戦前はあのあたりには何々があって、なんて話は聞いた記憶がない(東京郊外で育ったせいかもしれん)。しかし考えてみれば、この当時、世で活躍していた30半ば以上の人は、当然いろんな形で戦争の記憶を背負って生きてたわけだね。この和賀英良(加藤剛)の場合は、過去を捨てるきっかけとして、ということになるけど。

・とりあえずここまで。もう少し時間がたって、きちんとレビューにまとめられそうな気がしたら、書き直すかもしれない。

(04/06/12再見)

(評価:★4)

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