[コメント] スターシップ・トゥルーパーズ(1997/米)
もちろんメッセージは、「君もinfantry(歩兵部隊)に入ろう!」だ。これを観て、人気凋落傾向にあった陸軍への志願者が増えたらしい(嘘)。
通常の戦争映画は戦う相手「敵」も同じ人間なので、リアルに描こうとすればするほど、戦うための正義を捨て、戦うことの矛盾について描かざるを得なくなる。だが、この映画での「敵」はクモ型宇宙人。言えば虫ケラ。殺して殺して殺しまくって全然OK!な相手である。観終わって、サバサバとした爽快感を覚えた。
と同時に、戦争を楽しんでいる自分に一種のうしろめたさを感じるのも、人間として自然な感情の流れなんだろう。これの度が強い人には、この映画は楽しめないかもしれない。また、うしろめたさを感じさせることから、「反戦感情を呼び起こす映画」=「反戦映画」との評価を下す人もいるようだ。だが、この映画自体には、いわゆる反戦思想はまったく入ってない。戦争の危険な魅力を徹底的に描く作りになっている。
身内(家族、戦友)が殺されるという悲惨も描かれるが、そこから反戦思想が導かれるということはなく、敵への憎しみへと容易に転化してしまう。なにしろ相手が虫ケラなので。
ハインラインの原作にもこれらの要素がなかったわけではないと思うが、そこに着目して前面に押し出したのはバーホーベンの天才のなせる技だ。むしろ原作では、SFとしての細部や、青年の成長譚に紙数がさかれていたように思う。そして何より、活字が逆立ちしても太刀打ちできない、戦闘シーンの迫力と臨場感は、バーホーベンの独壇場だ。むろんCGとて完璧はあり得ないけど、足りない部分は観る者の想像力で補ってでも、楽しむ価値のある作品。戦争は映画で楽しむに限るのだから。
個人的にはやっぱり歩兵はいやだ。
85/100(01/06/21記)
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