[コメント] ウェルカム・トゥ・サラエボ(1997/英)
押しつけがましくなく、淡々と描かれている点に好感がもてる。その分、印象が薄いのが難点といえば難点だが、こういう映画はある程度見る側にも何かを読み取るべき責任があるように思う。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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許可証を貰ったはずのバスから子供たちが連れ去れるのを、どうすることもできない無力感がたまらない。そこにスーパー・ヒーローは登場せず、逆らえば事態が悪化するという冷徹な現実のみが横たわっている。
女の子一人を救ったところで何になろう。だが、目に写ったものを救いたいと思い、そしてそれしか救えない。
この映画が描いたものは、現実には、おそらく「もっとひどい」ことはあっても、「もっともまし」なことはないだろう。
前半、殺戮のニュースがゴシップにヘッドラインを奪われる、という話がでてくる。それを見て、なんてばかばかしいと我々は思う。だけど、そのチャンネルなり記事なりを選択しているのは間違いなく我々だ。
サラエボの時でも、ソマリアの時でも、ルワンダの時でも、おそらく我々はそのニュースよりも、ゴシップや、バラエティ番組や、歌番組を選択してきたに違いない。
それが一様に悪いわけではない。人間はそういうもんだからだ。でも、ほんの数分間でも、我々が注意をそういう方面に向けるようになれば、報道のあり方も少しは変わるのではないだろうか。
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