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[コメント] 東京上空いらっしゃいませ(1990/日)

この映画のタイトルじゃないけれど、彼の映画を観ているときは思わず「相米慎二いらっしゃいませ」と叫びたくなるくらいに嬉しくなってしまうのだが、観終わったあとはどうしてこんなに切なくなるのだろう。
ナム太郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







最初はとにかく「キツイなぁ」という印象をもった牧瀬里穂が、演技が上手いとか下手だとかいうレベルを超えて最後は見事なまでに主人公ユウに昇華されていく様は驚嘆せずにはいられない。いや、これは彼女だけに限って言えることではないだろう。二役を演じた笑福亭鶴瓶はどうだ。いやいや、最後の傘とラッパだって…。

そのほかにもこの映画には好きなシーンがいっぱいある。

 ・東京タワーの上。作りものと分かっていながらどうして冷や汗が出るんだ。

 ・雨宮の家。ハシゴがいいんだ。

 ・舟。どうして天井なんだ。

 ・雨宮の車の中。あのキスシーン。

 ・結婚式の二次会。ミュージカル仕立ての躍動的なあのシーン。あの抱擁。

 ・ラストの楽器屋。せつない。

とにかく純粋に映画と向き合った人、相米慎二。最初は大好きな牧瀬里穂のことを書くつもりだったけれど、彼の映画となるとどうしても彼のことを書いてしまう。

この映画のタイトルじゃないけれど、彼の映画を観ているときは思わず「相米慎二いらっしゃいませ」と叫びたくなるくらいに嬉しくなってしまうのだが、観終わったあとはどうしてこんなに切なくなるのだろう。

(評価:★4)

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