コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 蘇える金狼(1979/日)

こんな会社じゃ「金狼」意欲も沸きません。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







主人公が表と裏の顔を使い分けて送っていた悪の世界とは、彼が己の美学を追求する場であった。なのに彼が標的と定めた会社の役員たちのそれは、金こそすべての表も裏もない、悪が日常業務化した場であった。しかも好き放題に横領しているは、仲間は平気で裏切るは、殺し屋を雇うは、笑っちゃうくらい悪すぎ。彼らの中核に食い込んだ主人公は、金と権力を手に入れるが、そこにはワクワクするような魅力もなく、なにより彼の思うところの「悪の美学」において許しがたい醜悪さがあって、彼のモチベーションはどんどん萎えていく。その姿は哀しくも滑稽である。そして最後の最後になってようやく脱サラを決意するという結末も、「ハードボイルドもの」でありながら「サラリーマンもの」としての皮肉を感じる。

演出では、優作の飄々とした雰囲気に、成田三樹夫や岸田森らのあざといキャラが絡んで、いくらでもギャグにころばせられそうな要素がありながら、「大藪春彦フェア」の角川映画ということで我慢し、そのテイストはTV『探偵物語』までとっといた、という感じでしょうか? でもラストでお面(ヤヌスの面?)と同時に「完!」ってでてきた時は思わず吹いちゃいました。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (5 人)G31[*] worianne[*] 山本美容室[*] いくけん マッツァ[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。