[コメント] キング・オブ・コメディ(1983/米)
本当にこの頃のスコセッシのタイトルインは格好良かった。多くのシーンを忘れてもレイ・チャールズの「Come Rain or Come Shine」は忘れられないだろう。サンドラ・バーンハードへの演出は過剰ぎみとも思えるが、後半、彼女の邸宅のシーンの美しさ、その狂気的と云っていい美しさを倍加している。
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妄想の交錯による虚実のはぐらかしも映画的で、ラストもそうだが、(まあ、ラストの刑務所で書いた自伝がベストセラーになり、出所してスターになるというのは妄想以外に考えられない、というオチなのだが)、ロバート・デ・ニーロがダイアン・アボットを連れて二人でジェリー・ルイスの別荘へ行くシーンなんかも妄想かと思ってしまった。或いは彼の部屋のジェリー・ルイスとライザ・ミネリの等身大パネルや母親の声なんかは妄想なのか現実なのか。
本作は私には次作『アフター・アワーズ』に近いスコセッシとしてはどちらかと云えば肩の力が抜けた軽いタッチに思えるのだが、このような演出で狂気を描かせればスコセッシは当時他の追随を許さない、まぎれもなくアメリカ映画界ナンバーワンの演出家だったのだと改めて痛感する。
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