[コメント] ライフ・イズ・ビューティフル(1997/伊)
映画を見終った人むけのレビューです。
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たとえば、仮にですよ、あの息子さんが不治の病で余命一ヶ月ですという状態で収容所に入れられて、残されたわずかな時間を笑って過ごしてほしいからという動機であればベニーニのやってることもギリギリ許せるんです。
だけど、こんな風にして生き残った息子が大人になって現実と向き合ったときに何を思えばいいんですか?あれはゲームじゃなかったんだって知るときが来るわけですよ?自分が死体の山の中でケラケラ笑ってたってことを理解するときが来るんですよ?それでも「パパ、あの時は必死で誤魔化してボクのために死んでくれてありがとう!」って言えばいいんですか?彼にも同じように息子が生まれたら、彼はその息子にいったい何を伝えられるんですか?
要するに、ハナっからこのベニーニって男は人間を信じちゃいないんですよ。希望なんて持っちゃいないんです。やがて息子が大人になったとき、この不幸な現実を生き抜いたことを誇りに思ってほしいと、父親ならそんな風に、共に戦うんだという、息子よおまえはこの不幸な現実を決して忘れずに未来を生きろよと、二度とこんなひどいことが起こらないように必死に考えて生きるんだぞと、そういうメッセージを伝えることこそが子を愛するってことだし、希望ってそういうことでしょうが。あーもう。見てからずいぶん時間がたってるのに、こうやって感想書いてても怒りが収まらんですよ。
この映画は「人生は素晴らしい」なんて映画じゃないです。「こんなマイライフって、とってもビューティフルでしょ!?だから泣けよ!!」ってな欺瞞でもって一丁あがりです。
ふざけんなと言いたい。
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