[コメント] 人情紙風船(1937/日)
群像劇を行うときの、過度なまでの客観性の確保に監督の非常なクレバーさを見る。
「青空」「雨」「人形」「盲人」「シチュエーションコメディ」そしてもちろん「紙風船」、これらを縦横無尽に使い分けることで、登場人物も、そこで起こる事象も徹底的に客観視している様に多いに痺れる。
侍のストイシズムや町人の破滅的な享楽に、映画も一緒になって酔うことがまったくない、ここでは煽情性に逃げる凡百の映画とは完全に一線を隔している。
それが故に、ラストを定型化されたアイロニーの悲劇へと帰結させてしまうあたりに、山中貞雄という人は「作為の人」であると感じ、そこに若さを見たり。
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