[コメント] ホテル・ニューハンプシャー(1984/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
『ガープの世界』も同じような感想です。あっちの方がもう少し楽しめたけど、もしかしたらアービングの原作自体が個人的に受け付けないのかもしれません。彼の小説はまだ一冊も読んだ事がないのですが。
数々の不幸にあいながらも、飄々と生きていく…という家族の物語ならいいのですが、集団レイプにあいながらも「彼(レイプの首謀者)は私を好きだからしたのよ。私まだ彼が好きだわ」と言うジョディや、孤独な妹そっちのけで姉弟でSEX三昧するシーンなど、笑いとばすにはあまりにも痛い愚かさ・残酷さを感じるのです。これを笑いとばせる原作者は人生に対して、あまりにも意地悪でひねくれた見方をしてるのでは…と勘ぐってしまうのです。
特に「ガープ」のReviewにも書いているのですが、作中の男性キャラの、女性キャラへの対応に嫌悪感も感じるのです。勝手な推測ですが、アービングは「女性は謎だ」と感じながら書いているような気がします。そして更に穿った見方をすれば「謎だから、わかんなくていいや」と突き放したような描写に感じます。あくまで男性目線なのです。
確かこの映画に「開いた窓は通り過ぎろ(無視しろ?)」のようなセリフがあったと思いますが、その人生観にも疑問を感じます。「自殺したくならないように、その気持ちに蓋をして生きろ」という後ろ向きな考え方に思えるからです。もしプラス思考なら、開いた窓の前でもシッカと立てと言うはずです。自殺したくなるからには理由があるはずで、その理由と対峙せずにただ窓=自殺から逃げる事でなんとか生き延びよう、という考えは単に問題の先延ばしで現実逃避に過ぎないと思います。
結局アービング流の人生観は個人的に受け付けない、という事みたいです。すごく惜しい。色んなシーンで笑ったり、切なくなったり楽しんだのに…。自分の人生観が固まっていない若い頃なら、大いに楽しんでもっと★が上がっていただろうと思います。
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