[コメント] スリーピー・ホロウ(1999/米)
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アメリカの民話「スリーピー・ホロウの伝説」あるいは「イカボットと首無し騎士の物語」をベースに鬼才ティム・バートンが作り上げた荒唐無稽な物語。劇中でイカボットがハロウィン用ランタンを投げつけられるシーンでその物語に言及こそしているが、実際は完全に自己流解釈した作品。
私にとってバートン監督作品は最高か最低の二つの点数しかつけられないと言う不思議な監督なのだが、デップを主人公に起用した三作品『シザー・ハンズ』 『エド・ウッド』 そしてこの『スリーピー・ホロウ』は全て大好き。
この作品にはいくつか難点もあったりするが(科学信奉者であるはずのイカボットがあまりに簡単に伝説を信じるとか、時として無茶苦茶特撮がチャチだとか、何よりこの展開は通常人間が伝説を真似てやっていたことが分かって万々歳で終わるはず)、そんなもん全てぶっ飛ばすほどの良さがある。
先ず、完全にコテコテのゴシック・ホラーを徹底してやってくれたこと。その辺の描写には全く妥協が無く、アメリカを舞台に良くもここまで中世的雰囲気を醸してくれたもんだ。
この描写能力だけでも唸らせるが、それだけに終わらず、首無し騎士の非道ぶり、殺陣は文句なし。レイ・パークを起用したのは大成功だろう。ジョニー・デップも久々に『シザー・ハンズ』を思わせる中途半端な感情を持つ役を好演してくれた。クリスティナ・リッチの小悪魔ぶりも良し。あと、ゴシック・ホラーと言えばこの人!“吸血鬼役者”クリストファー・リーをカメオ出演させると言う凝りよう。
小気味良い程の監督のこだわりがひしひしと感じられ、これだけの凝り方を魅せられちゃあ、もう感涙もの。
ちなみにこの作品は多分「ホラー」に分類されると思うのだが、瞬間的にビビらせたのはイカボットの回想シーンで母ちゃんがアイアン・メイディンから叫びながら出てくる所くらいで、さほど怖いと言う感じではない。でもそんなのは枝葉末節。要するにバートンのこだわりにどっぷり浸かれれば、それで良い。
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