ラストシーン、海面からピョンと顔を出した主人公が船上の夫と交わすとても清々しい何気ない会話。

この人魚と人間の距離感こそが至福だったのであり、陸に上がると人魚にとってのそれは愛した人間の復讐だけであったという辛さ。

でも、殺された夫の為に陸上で奔走する妻が、その息絶えた夫に逆に海中で助けられたり、原子力ムラ連中を銛一本と更には猛烈な嵐を呼び起こす事で一蹴する後半の鬼ファンタジックな展開だからこそ嫌な余韻も残さない。

耳に残るメインテーマも好みで、言い方は変だけど、本作は大人向けの童話といった感じかな。