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[コメント] ひなぎく(1966/チェコスロバキア)

「若くてカワイイ」という重荷。
きわ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







一緒に観ていた友達が言った。「こんなに可愛い顔した子達じゃなくて、もし森山中がやってたら、まさに『死ネ』だね・・。」

「小悪魔」を3周分通り越して「悪童」。次々と度をこした行動をくりだす可愛いお顔とくちびるからもれる笑い声は、ケタケタと耳障りでまさに餓鬼のようでした。 しかし観るに耐えるのは彼女達が「カワイイ」から。どこをどうとってもカワイイ。いつだれが洗濯しているのか不明なそろいのワンピースも、明日からでもマネしたくなるようなポップな髪型も、どこで売っているのか聞きたいキッチュな下着や水着も。 「カワイイ」にこれほど力があるとは。いまさらながら驚く。 しかしたまにカワイイを通り越して「グロイ」に達している彼女達です。なんたってオープニングから鼻くそほじって壁になすりつけるんです。さすが女性監督です。描き方がガチです。殿方、とくに少女崇拝者の方にはぜひ味わっていただきたいシーンが沢山あります。

彼女達の行きすぎたハデな化粧とか、迷惑行為とか、援交とか、偏食などは、「自由」「元気」という風にもみえるけど、私には、その全部が活力を持て余してどうすればいいかわからないゆえの行動、危なっかしい魅力にまかせてわざと大人の注意をひく、「若い女の子」特有の憤りに見えた。昔社会問題になった「ガングロギャル」とダブる。

思い出したように彼女達は「わたしたちってなにもない」「わたしたちこれでいいの?」と考える。大人に無視されると「わたしたち透明になっちゃったんだわ」と考える。そしてお腹がすき、深く考える前に補導一歩手前の行為にあけくれる。 「♪若いって素晴らしい」っていう昔の曲があった気がするけど、「若い」当事者達はパワーと可能性を持て余して不安でさまよってる。

蛇足ですが「あたしもちょっとそれやってみたい」と思った行動は、誰もいない晩餐会の豪華ディナーをキッタナく食べ散らかしてシャンデリアでブランコすることでしょうか。あとなんといってもあの食べっぷりです。(07/9/19 劇場)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)けにろん[*] 夢ギドラ[*] リア mal づん tredair[*]

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