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[コメント] グッドモーニング・ベトナム(1987/米)

この男、芸は達者だが人間は薄っぺらい。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







型破りな話芸には魅了されるが、人間的魅力に裏打ちされたものかというと、かなり疑問。上っ面な印象。

紛争地(戦地)に来ているとの自覚もなく、従来通りの奔放さで暴れまわっていたが、直前まで自分がいた酒場が爆破されることで初めて「現実」に気付く(それが相当に衝撃的な体験であったということはもちろん理解できるが)。まさに「衝動的」と表現できそうな行動で上官命令に背き、停職処分に。

停職中は酒に浸り、聴取者からの熱烈なラブコールで復帰が適っても、スネて復職しようとしない。ところが、兵士達との実際のふれあいの中で自分の人気を直接感じることができると、いい気分になって早速復職。

仲良くしていた青年の正体が実はベトコンだと明かされたときのショックは理解できるものの、ベトコン青年の、「敵はお前らアメリカだ!」との至極当然のことに聞こえる非難を正面から受け止めようとせず、「親友に裏切られた」という勝手な思い込みに基づきショックを受けるのみ。

そのわりに立ち直りも早く、ベトナム人と野球に興じ、兄の正体を知ってか知らずか何故か平然としている少女との別れを惜しんだりする。

こう言っては何だが、随分子供染みた人物との印象を受ける。この短いベトナム滞在で、彼は人間を磨いたのであろうか。

主人公が薄っぺらいので、映画自体も薄っぺらい。薄っぺらいからといって必ずしも悪いわけではないし、良いシーンもたくさんあるんだけど、ベトナム戦争を舞台にしていると、どうも重厚さを求めてしまう。ただしこれは、「ベトナム映画かくあるべし」との固定観念に囚われているこっちの側にも問題があるとは思いますが。

(評価:★3)

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