[コメント] あの子を探して(1999/中国)
餓鬼どものああいう顔を引き出せる才能は稀。TV局正門での聞き込みシーン(多分ゲリラ撮影)などに観られる実験精神も大いに買う。突き放した、優しいロングショットが稼ぎ出した得点を、一辺倒の弦音楽が台無しにしている点を除けば全て良し。
日本なら今井正、山本薩夫、熊井啓、イギリスならケン・ローチ、反政府映画なんていつだってどこにだってあります。問題はその着地点だと思う。この映画が、共産主義とか資本主義とかそういうせせこましい”イズム”の、どちらかを批難したり礼賛したりしてるようには俺には見えませんでした(俺が馬鹿だからかも知れません)。映画が告発しているのは、”貧富の格差”という現実であり、それを引き起こした政策の過ち。だからこれは俺の許せる、というかこの世から決して消失してはならない、健全な「反体制映画」である(と信じたい)。イズムの宣伝映画ではなしに。
それと、貧乏人が、なにがなんでも金が欲しい、って思うのは、俺は全く悪いことだと思いません。不純な動機、無知蒙昧な行動、不満がつのって八つ当たり、結果が出たらムードに流されて感動、全て許せる、だって金が入ったし(寄付した人もいい気持ち)・・・これが人間ってもんでしょう。
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