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[コメント] 風花(2000/日)

明るさは、滅びの姿であろうか。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







浅野も、小泉も、死んでしまうに足る大きな理由を抱えている。

だが、浅野はシラフの時は嫌味に見えるくらい深刻だ。それは生きてゆかねばならぬ重みを、まだ脱ぎ捨てていないからのように思える。それに較べれば小泉は、一見生を享受することを嬉しがっているように明るい。そんな小泉が死を選ぶのは、総ての生の重みを脱ぎ捨てたがっているから。

嫌な奴ほど長生きするというのは案外当を得た言葉かもしれない。自分の中の明るさを振りまけるのは余裕があるからだし、普通の大人は始終それができるほど気楽ではない。

最後におのれの娘に「ママ」と呼ばれた時、少女のようだった小泉の顔に、初めておばさんらしい皺が刻まれた。それこそが、この世を生きていることの証であるように思える。

(評価:★4)

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